その指針とは「その当時、注目されていない業界にしよう」ということだった。理由はいくつかあったが、一番大きな理由としては人材の競争率が激しくないこと、だ。どういうことかというと、その時に注目されていないということは人気の業界ではないということなので、優秀な人材が必ずしも集まっているとはいえないということだ。例えば、今トヨタという会社に入ったとしよう。この会社は現在、日本のみならずアメリカのビッグ3を脅かす存在になっている。ダイムラークライスラーはほぼ抜き去り、フォード・GMも抜き去ろうかという勢いだ。日本の税収が40兆そこそこにもかかわらず、トヨタの納税額は1兆円くらいある。日本の税金の40分の1はこの会社が払っているのだ。
少し話がそれた。今、トヨタという会社に入ろうとすると競争率が激しいことは容易に想像できるであろう。東大・京大を初めとする国立大や私大のトップクラスの連中の中でも、成績優秀な人間達が集まってくる。そうすると運良く入社できたとしても、自分のやりたい仕事ができるかというとその確率は非常に低い。僕が就職活動していた当時、NTTドコモなんてただのポケベルの会社だった(10年ほど前)。3-4年前には就職人気企業ランキング上位トップ10に入っていた(2004年にはトップ10から外れている)。就職人気企業も世間での注目度に左右されるところがあるので、惑わされてはいけない。つまり、僕が就職した当時にNTTドコモに行こうと考えた人間は、少し変わっているのかもしれない(ただ、当時はNTT分割前だったので、NTTが一括採用して配属時に振り分けてた可能性はある)。
つまり、これから「きそうな」業界に入れば自分達が仕事を覚えて第一線で仕事をするときには、かなりおもしろい仕事ができる可能性があるということだ。今人気の企業に入ったとしても、10年後、20年後、30年後には全く見向きもされない業界になっている可能性もある。
僕が就職を決めたのは、ある人材派遣会社だった。その当時人材派遣業界について調べようと思い紀伊国屋に行ったのだが、あったのはたった一冊の本だけだった。マーケットの規模も当時と現在では比べ物にならない。ただ、選んだ会社がもう一つだったのと、「教育と人材派遣を結びつける」という狙いはイマイチ当たらなかったので、職を変えてしまったが。良かった点は、やはり成熟した業界ではなかったので、いろいろチャレンジすることはできた。僕自身は面白かったが、目論見が完全にあたったとは言えないので、多少のリスクがあることも否めない。
結論としては、人気企業・業界に入ると優秀な人材に囲まれることになるので競争が激しく入社してからが厳しい、人気企業・業界でない会社に入ると自分が大活躍できる可能性もあるがそれが外れるリスクもあるということ。このどちらを選ぶかは本人の好みだろう。


